シスターズ

sistersデ・パルマの『悪魔のシスター』リメイク。まず、この作品が好きだという人はどの辺に惹かれるのかよく胸に手を当てて考えてもらいたい。当然、すべての人がデ・パルマ特有の映画文法をレイプするかのような映像構成と答えるはずだ。そういう人にとって、『悪魔のシスター』で起こったイベントをシリアスに、ストレートに再構成した本作は敵のように思えるだろう。

デ・パルマの良さは、破綻した話を無理矢理力技でねじ伏せるその豪腕さにあり、その特徴が荒削りに出ていたのが『悪魔のシスター』なのだが、今回のリメイクでは破綻した話を「説明」でなんとかしようとしている。

この時点でもうアウトすぎてついてゆけない。初めからしてもうダメで、ピーピング・トムをやってくれない。あるのはやけに解説的な映像のみだ。こんなもんジーンズみたいなもんで、大穴があいたらあいたままにしとくのが「味」であって、無理に繕ったりするとダサくなるのだよ。

あんま思い出すとこっちが腹が立ってくるのでやめるが、楽しいことだけ思い出すと、犯人役のルー・ドワイヨンの顔面がエロでよかった。うんうん。あとはもう語るに及ばず。語るに及ばずだ…デ・パルマのウンコを煎じて飲め。死ね。

いつか眠りにつく前に

Evening
うむ〜女性映画つうのは久々に見たが、つくづくやっぱり性に合わんなあ。

バネッサ・レッドグレーブが死にそうになったので、ナターシャ・リチャードソンとトニ・コレットの娘たちが看取りに来て、母親である自分とレッドグレーブを重ねて感慨にふける現在のパート。レッドグレーブの回想で若かりし頃のレッドグレーブことクレア・デインズのひと夏の恋物語が過去のパート。

映画脳で考えると現在のパートと過去のパートは本質的に同じドラマであるべきじゃないかなと思うが、本作の場合、母親として生きることを再び決意する物語と女として生きる恋物語つうのはあんま符合しなかったりするのがどうもね。僕はただでさえこの手のジャンルは倦厭しているので斜に構えすぎてるのかもしれんが、どうもくえんなあと思う。

キサマ鉄骨でも入っているのかみたいなクレア・デインズの面構えも哀しいし、ゲストのベテラン陣(メリル・ストリープ、グレン・クローズ)の出演もそんなうれしいものではなかったが、奔放なレッドグレーブのDNAを多めに受け継いだという設定のトニ・コレットは、キャラがにじみ出るような感じでよかった。たしかにこの人、普通にフラメンコとかやってそうだからなあ。

88ミニッツ

88min唐突に処刑宣告を受けたアル・パチーノが、正体不明の犯人と対決するサスペンス。

パチーノは犯罪心理分析医で、連続殺人犯を裁く陪審で証言したばかりだったが、その殺人犯の手口を真似た殺人事件が発生する。凄い眼力を働かせて事件の関連性を調べるパチーノだったが、犯人から電話を受け取り「キサマをあと88分後にぶっ殺す!」という脅しを受けてしまう…その時、パチーノは物凄い眼力を働かせながらひたすら困惑する。

アル・パチーノはホント追い込まれる表現ってできない人じゃないかなと思う。あまりに眼力ありすぎで、罠にはめられ憔悴する男というのがまるで板に付いていない。

まあそれでもいい。報復なのか何かの示威行為なのか意図不明の犯人と知恵比べに指名された名探偵という判りやすい図式ではあるので、ケレン味勝負のフーダニットと考えましょう。

ただパチーノが身を置いてるロケーションがあまりにカナダで安っぽすぎ。これは正直どうかと思う。RHIが量産する2時間サスペンスと同じ背景で演技をやらされるパチーノの絵面って、みてらんない。せっかくのパチーノなのに。

ダークナイト

もうこれはコミック原作ではない! コミックのうま味を拭い去ってバットマンのイヤーワンを描いた前作『バットマン ビギンズ』によりコミックファンの反感を買ったクリストファー・ノーラン、ここで万人に目配せの効いた続編をつくるのかと思いきや、よりダークにより深く前作のタッチを掘り下げた。

もうこれはコミック原作でない、グラフィック・ノベルだ。たしかにノーランには色々反省してもらいたい点が色々あって、まあその最たるはコミックファンの心情を逆なでするリアルタッチにあるのだが、やはりノーランでなければ達成できない独自性があり、今回の『ダークナイト』はノーラン自らが構築したバットマンの世界観を完成させた大傑作だ。

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