ミリキタニの猫
ドキュメンタリー。無論、多くのドキュメンタリーが事実以上のメッセージを込めて恣意的に作られている通り、路上アーティストをやっているジイさんの人生をなぞりながら911以降の社会に対して懐疑的な意見を述べるというわけだ。
この老人は広島県出身で、どうもWW2以前にアメリカへ流れ着いたのだが、戦中はずっと強制収容所送りにされたらしい。ま、つまりこのじいさんにしてきた反人道的な弾圧が今日も繰り返し行われているのよ、ちょっとヒドくない? ってわけだ。
実際象徴的にWTCに旅客機が激突するシーンとジイさんが絵を描くシーンをカットバックしたり、政府に対する愚痴をジイさんに言わしたりする「演出」がある訳で、この辺に右翼な僕は鼻白む思いだ。
でもまあ、何に付けてもリアルに主義主張がある人間を観るのは楽しいものだ。年金を頑として拒んで年金事務所の人を困惑させたり、オレの描いた絵は高く売れるぞうとインタビュアーに威張ってみたり、ジイさん、寂しいのかいと抱きしめてあげたくなるのだった。
結局、このジイさんは自分のルーツをたどって強制収容所跡地に行くことにするのだが、その地にいってやることといったら絵を描くしかなかったりする。どこへいっても日常茶飯を忘れないその一貫性は学ぶべきところが多い、とてきとう言っておこうか。